2011年05月08日(日)
45年前のコンパクトカメラの試写 [写真機徒然]
今年の4月にヤフオクで落札したCanonet QL17の調子を見るべく、快晴の本日、試写を敢行してみました。
Canonet QL17は、1965年3月から1969年7月まで発売されていたレンズシャッター式のコンパクトカメラ。45mmの開放値F1.7のレンズに、最高速度1/500のシャッター速度優先EEとマニュアル露出を備え、重量が約800gもある金属感たっぷりの重量級機械式カメラです。
私の手元にある個体は、ジャンク品を500円で落札したもので、見た感じあまり状態の良い個体とは思えず、正直のところ、そのままでまともに動くとは期待していませんでした。
しかしフィルム室を見ると、部分的にですがモルトを張り替えた形跡があります。また電池蓋を外すとLR44を水銀電池MR9(H-D)に変換するアダプタが出てきました。
つまり、ジャンクとして販売される少し前まで、誰かが利用していたと考えて間違いなさそうです。
ひょっとして、このままで撮れるかも?と思い、家にあったボタン電池を入れてみると、驚いたことに、EE機構が元気いっぱいに動作しはじめました。
しかも、単にcdsが生きているというだけではなく、指針が指し示す露出値は、ほぼ正確なようです(実際に試写してみると、少々明るい方向へずれているようでしたが)。
以下、本日の試写の成果です。フィルムはKodak GOLD100。EE撮影と手動露出撮影の両方を試しています。VueScanでのスキャンは、フィルムのベース色を設定した以外はデフォルトのままです。
まずは、マニュアル露出。
快晴に合わせて、1/125、F11で撮影しています。
解像は、ばっちり。
色合いも、良い色で写っています(^^)。
次に、SS優先のEE機構で自動露出。
シャッター速度は1/125です。
どうも同じシャッター速度で自動露出で撮ると、全般的に少し明るい方にずれて(実際よりも「暗い」と判断している)、真ん中付近が少し露出オーバー気味になるようです。
ぎんぎんに明るい場所で自動露出で撮ると、真ん中近辺の露出オーバー傾向が少し顕著になります。
EE機構の感度だけではなく、数値通りのシャッター速度/絞り値が出ていないのかもしれません。
非常に明るいところで、あまり高速シャッターに設定せず撮影する場合、シャッター速度優先のレンズシャッター機では、EE機構が決定する絞り値がわずかに明るい方にずれると、画面の真ん中が相対的に周囲より明るく撮れてしまう、機構的な宿命もあるのですが・・・。
※5/9追記:よく考えてみると、ボタン電池の電圧が指定の1.33Vではなく、1.5Vであることが影響しているような気がしてきました。ISO100フィルムで感度設定をISO200に設定したら、修正出来るかも?
真ん中が露出オーバー気味になることは、花を撮る場合など真ん中が明るく撮れて、かえって良い結果になることも(^^)
レンズのボケは、こんな感じ。とても素直なボケ具合です。
レンズの素性はかなり良さそう。
このカメラ、マニュアル露出で撮る分には、なかなか素晴らしい写りをします。
個体としても、シャッターやEE機構などは、十分調整が可能そうであるという意味で、思っていたより大分しっかりしているようです。
ただ、ジャンクと言うだけのことはあって、レンズにはカビがあり、ファインダーも汚れ放題です。
Canonet QL17の修理代の相場は、各部清掃と可能なかぎりのオーバーホール修理で、1万円〜1.5万円くらい。
実はこのカメラ、私が子供の頃実家にあったものと同じタイプのもので、できることなら復活させたいと思っています。
ただ、同じカメラで、もう少し状態のよい個体もありそうな気がしていて手元の個体を修理するべきかどうか、迷うところです。
さて、どうしたものか。
Posted by Julian at 17時32分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 4 )
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コメント
昔のカメラは密度がありますね。
機械そのものって感じがして好きです。
マニュアル露出の一枚目と最後のボケの具合の写真良いです。
復活できると楽しいですね〜
ただ費用を考えるともう少し良い機体を探された方がいいか…な?
pokorinさん、毎度です〜(^^)
無闇に重い、いかにも「メカ」という感じが何とも言えません。
今のところ、程度の良い個体を買い直す方向で検討中です。
そうしたら、この個体は、ヤフオクへ逆戻りかな(^^;)
なんか無条件に酔いますなぁ〜
金属製の精密工業製品
ライカやオールドペンタックスもそうなんですけど目で舐めまわし手のひらで質感を味わいそれだけで酒が飲めます。
ほとんどビョーキの世界ですがアタシの場合自転車のペダルを手で回してラチェット音を聞きながらでも酒が飲めるので完全にビョーキかもしれません。
カメラや自転車なんぞ手段にすぎぬのにと倫理では理解しつつすっかりこのビョーキから回復しません。
ま、ビョーキを楽しみましょう!
ほぼ100%趣味性の世界ですよね。
道具として合理的に考えれば、軽くて小さくて思い通りによく写れば、それで良いわけで・・・。
私が自分のカメラ漁りの言い訳をするなら、道具の違いは、それはそれで作風に大きく影響を与えてくれるから、なんですけど・・・。
つくづく金属カメラの質感というのは、良いですね。世の中的に、オールド・ライカが高値で流通しているのも、何となくわかるような気がします。
しかし、なんと言おうとも、道具の感触に魅了されるというのは、やはりビョーキですね・・・(^^;)。